10号車 ROUND.5 鈴鹿 レースレポート&インタビュー

10号車 ROUND.5 鈴鹿 レースレポート&インタビュー

今期2勝目!!
シリーズリーダー独走!

8月29日(土曜日)予選

公式練習9:20~10:55
-曇/ドライ/気温:23度/路面温度:23度
ノックアウト予選1回目14:30~14:45
-曇/ドライ/気温:27度/路面温度:32度
ノックアウト予選2回目15:15~15:27
-曇/ドライ/気温:27度/路面温度:33度

SUPER-GTの中で、最長距離を走る伝統の鈴鹿1000km。
真夏の3連戦の最後を飾る過酷なレースとなる。

鈴鹿1000kmは、距離が長い分、獲得できるポイントも通常より高く、シリーズを考えたら重要な1戦となる。例年は気温も30度を超え、路面温度も50度を超えてくる鈴鹿だったが、今年は昨日の雨の影響もあり、気温も路面温度も低く、真夏とは言い難い天気になった。

しかし秋雨前線の影響で、湿度は高く蒸し暑い。そんな中、公式練習はスタートした。
走り出しは千代勝正から。マシンバランスは完璧に近く、前回のレースの時に出ていたブレーキング時の気になるマシンの動きも消え、S字で少しアンダーステアがある程度。88kgを積んでいるとは思えないほど、タイヤとのバランスも良い。2種類のタイヤを比較し、AndreCoutoにハンドルを渡す。Andreもタイヤ比較を行い、富田竜一郎と交代。富田は2人のコメントを聞いて確認しながら走行。最後にAndreと交代し、このセッションは10番手で走行を終えた。

Q1を担当するのはAndre。予選はオンタイムで開始された。全車コースインしてから、最後にアタックを開始する。計測2周目に1‘59.839のタイムで暫定4番手。その後タイムアップするマシンもあり、結局9番手でQ2に駒を進めた。
Q2を担当するのは千代。計測2周目に88kgのハンディウエイトを積んでるとは思えない走りで、01‘58.600を出し、一気に2番手に浮上。5台がコースレコードを更新するタイムだったが、10号車はそのまま2番手でQ2は終了した。

 

 

予選後ドライバーインタビュー

アンドレ・クート コメント
今日の予選は素晴らしかった。Q2の千代選手の予選は2位と本当に素晴らしかった。明日はこのポジションを守って、雨かもしれないが、今日の良い感じをもって決勝に臨みたい。

千代勝正 コメント
予選のタイムを聞いて正直驚きました。今回ウェイトも重かったし、特にJAF勢が速かったので、がんばっても6・7番手だろうと思ってました。まさか2番手を取れるとは思っていませんでした。車も凄く良かったし、タイヤもコンディションにマッチしていて、自分も良いアタックが出来ました。良いマシンを用意してくれたチームに感謝します。明日のレースは1000kmと長いので、しっかりと良いレースをして少しでも多くのポイントを持って帰れるように頑張りたいと思います。

富田竜一郎 コメント
今回、今までで一番車が重たい状態でやってきたのですが、自分たちが思っている以上に車のフィーリングが良くて、タイヤもダンロップさんが凄く良いタイヤを作って来てくれました。車のセットもドライバーのフィーリングも良かったので、正直ちょっと期待はしていたのですが、それ以上に千代選手はとんでもないタイムを出してくれました。明日は2位からのスタートなので、心からうれしいと思うと共に、千代選手のアタックは凄く感動しました。明日の天候が不安定なので、出来れば晴れてくれればいいなと思います。表彰台は狙いたいので、3人力を合わせて良いレースが出来るように頑張りたいと思います。

 

 

8月30日(日曜日)決勝12:30~
雨・曇/ウエット・ドライ/気温:26度/路面温度:28度

通常行われる決勝レース日のフリー走行はサポートレースの決勝レースの為行われず、スタート前のウォームアップ走行が8分から20分間に増え、最後の調整を行った。Andre-千代-富田と短い時間ながらも、決勝前のウォームアップを走行。雨もポツポツと降っており、非常に難しいコンディションのスタートとなりそうだ。グリッドに着くと、雨が振ったり止んだりの状態で、タイヤ選択が非常に難しくさせる。
スタートドライバーはAndre。深溝タイヤを選択し、フォーメーションラップが開始された。1周目のペースは悪くはなく、そのままの順位でコントロールタワーを通過。しかし、Andreを先頭に団子状態で周回を重ねるが、路面とタイヤとのマッチングが良くなく、ペースが上がらない。4周目に88号車ランボルギーニ、5周目に7号車BMW、31号車プリウスにかわされ、順位を落としていく。しかし、余りにも早いタイミングのピット作業は、表彰台からの転落を意味し、それも出来ずにいた。10周目を過ぎた辺りから、Andreの悲痛な叫びが無線機から聞こえる。他車とのラップ差を見ながら、23番手まで落ちた15周目にルーティーンのピット作業を行い、千代にハンドルを託す。

トップを快走する2号車MCに敵わないものの、上位陣と遜色ないタイムで周回を重ねる。最後尾まで落ちたが、他車のルーティーンのピットが始まり、徐々に前車との差を詰めていく。全車が1回目のピットを終えた36周の時点で、9番手まで復帰していた。
徐々にこの頃から雨が上がり始め、路面状況が変わり始める。出来るだけ千代で周回を重ね、路面がドライに変わった時点で富田とドライバー交代に入りたい。
願いは通じ、ガス欠状態一歩手前の53周目にピットへ。早いピット作業で富田をコースへ送り出す。
富田のペースは速く、すぐにファーステストを叩き出す。56周目に200Rで50号車SLSが大きくクラッシュ。SCが導入される。61周目にリスタートとなり、レースが再開。タイヤの温存と燃費走行を考え、淡々と周回を重ねる富田。実はこの時点で上位6台ほどが2回目のピット作業を行って居なかった関係で、GAINER2台は周回遅れの状態に。
打つ手はないのかと考えている時の67周目に、51号車BMWからのオイル漏れにより、何台ものコースオフするマシンが見られ、オイル処理のため再びSCが導入される。74周目にリスタート。これにより上位のマシンは同一周回となり、レースは6番手のポジションから仕切り直しに。90周目には5番手までポジションをあげて、Andreと交代。

上位陣のペナルティにも助けられ、97周目にはとうとうトップに躍り出る。
Andreも後方から迫ってくる61号車BRZ、7号車のプレッシャーにも負けず、ペースを落とすことなく周回を重ねる。500との絡みもあって、119周目に7号車にトップを明け渡すが、次の周に最後のドライバー交代のためピットへ。千代が最後のスティントを担当する。
122周目に7号車、61号車とも最後のピットを終えコースへ。最終コーナーを立ち上がって、ストレートを通過する千代。2台のアウトラップで抜くしかないと猛プッシュ。7号車をS時入り口で、61号車をデグナー2つ目で料理し、実質のトップへ。
2番手で追走してくるのは7号車だったが、徐々に引き離しに掛かる。128周目に0.5秒差だったのが、139周目には3.9秒まで差を広げる。しかしブルーフラッグを振られているにも関わらず、進路を譲らないマシン2台に引っかかり、一気に7号車との差を詰められてしまう。その上146周目には、西コースからパラパラと雨が落ちてくる。0.2程の差を千代は巧みに操作し、7号車にプレッシャーを与える。千代も一時たりとも気を緩めることが出来ず、7号車との攻防は続く。SCなども入りチェッカーは1000kmではなく18時25分になる。

1時間ほど続いた攻防の末151周目に、トップでチェッカーを受けた。

GAINERにとっても、初めての鈴鹿1000kmの勝利となった。

 

 

決勝後GAINER GT−Rインタビュー

アンドレ・クート コメント
歴史のある鈴鹿1000kmで優勝できたことは非常にファンタスティックです。
ファーストスティントでたくさんのトラブルがあり、レインタイヤがグリップしなかった。その後リカバリーできて本当に良かった。
Teamもタイヤも本当に素晴らしかった。タフなレースだったが、次の菅生はもっとタフなレースになるけど、頑張るよ。

千代勝正 コメント
正直本当にタフなレースでした。本当に驚いてます。
走り出しの雨のフィーリングが余り良くなく、厳しいレース展開を予想しました。まさか優勝出来るとは思いませんでした。最後のスティントを渡されたときは、7号車のZ4と61号車のBRZの3台での優勝争いに絞られたと思って、とにかく2台の前に出て1位のポジションを守るのが自分の仕事だと思いました。最後まで本当に集中して頑張りました。
本当にチームが最高の車を用意してくれて、ピット作業も早く素晴らしいピットワークで、毎回ミス無く送り出してくれました。そういったチームの総合力のおかげで勝てたと思います。
Andreも富田も本当にきちんと繋いでくれて、チームみんなに感謝しています。AndreのS-GT参戦100戦目の記念すべきレースで、優勝をプレゼントすることが出来て本当に良かったです。
次戦の菅生はヨーロッパのレースとかぶっているので、僕は出られませんが、ここまで良い流れで来ているので、残された3戦をチームでベストを尽くして、チームチャンピオンと、Andreのドライバーズタイトルを取れるように最後まで頑張りたいと思います。

富田竜一郎 コメント
土曜日の走り出しから流れが良くて、予選は千代さんの素晴らしいアタックで2位という凄いポジションを得て、かなりの手応えを持って日曜日に入りました。
残念ながら天候が余り僕たちの望んでいた方向にはいかなくて、そのからみでスタートタイヤの選択を外したりとかで、正直中盤まではポイントは取れるように頑張るしかないなと、少し諦めムードでした。雨が止んで僕のスティントが始まるくらいから、流れが急に僕らの望む方向に全て転がってきて、気がつけばAndreのスティントでトップを走るという事になってました。あとはドライバー2人の力と、チームの力が発揮された素晴らしいレースだったと思います。
この長いレースでのポイントというのは、凄く価値のあるものだと思います。僕は昨年ここで初めてS-GTにデビューして、今年GAINERに呼んでいただいて、この大事なレースで自分もきちんとチームの一員として力が発揮出来たかなと思うと、凄くうれしいです。何より3人で勝ち取った勝利というのは、一生心に残るものだと思います。
シリーズランキングも、1.2.3番を10号車のドライバーが独占するという、他チームからしたら迷惑きわまりない状態になっておりますが、この次の菅生は千代選手に代わって僕が乗る事になりますので、非常に重たくなった車でも、ポイントを取って千代選手にバトンを渡せることが出来たら良いと思っています。これからも頑張りたいと思います。

田中哲也監督 コメント
予選は本当に重い重量の中で、前にいけたことですね。ドライ路面だったらかなり良いところにいけるだろうとは思っていましたが、ウエットは不安がありました。悪い意味でその予想がスタートで的中してしまいました。ウエットのペースが非常に良くなくて、このままだったらどうしようかと考えてたら、セーフティーカーが入ったり、ペナルティを受けるマシンがでたりした中で、ウェット/ドライの路面でも凄く速かったのと、ピット作業も完璧でした。
10号車に関したら、序盤のトラブルも完璧にリカバリー出来たし、全てが完璧でしたね。